2014年10月30日木曜日

バブルが生まれてはじけた理由は何だったのか?バブル経済の原因


バブルの時代はお金が溢れていていい時代だった。このような話をよく聞きますが、実際にはどのような状況だったのか?本当に日本経済は景気がよかったのでしょうか?バブルは泡という意味ですが、水の泡のように一瞬で消えてなくなる。2020年の東京オリンピック開催が決定しましたが、この時にもバブルはまた起こると言われています。大儲けする人もいるでしょうが、経済の仕組みが分かっていないと大失敗になる可能性もあります。経済的な面からバブル経済が実際にどのような仕組みで起こり、どのようにしてはじけたのか解りやすくご紹介します。

バブル経済が生まれた理由とはじけた原因


テレビなどで芸能人の人があの時は誰もが羽振りがよく、タクシーも乗り放題だった。という話をよくします。ジュリアナ東京があった時代ですね。1992年頃が最も景気が良かったと思っている人も多いかと思いますが、実際には既にバブルがはじけた後です。その頃はまだバブルの余韻が残っていたという感じですね。ですが、90年代には既にバブル景気は終了しているので、大損をした人、利益を上げた人とハッキリと別れた時代になっています。ではどうして急にお金を持つ人が増えたのか、バブル景気について詳しく解説していきます。

東京23区を売ればアメリカ全土が買えると言われていた


今から考えると信じられないのですが、東京の首都圏23区を売ればアメリカ全土が買えると言われていました。今でも東京の土地の値段は高いのですが、さすがにアメリカ全土を購入するのは不可能です。土地の値段の上昇がバブルと大きく関係しています。ちなみにその当時は1万円札を降ってタクシーを止めるという習慣がありました。手を上げただけではタクシーは捕まえられなかったんですね。東京では1万円札を降っても運転手が「一万円以内の場所までしか行かない」という理由で止まってくれない場合もあったそうです。白い紙を振るとタクシーチケットと勘違いしてうまく止めることが出来た。なんていう話もあります。会社がタクシーチケットを簡単に出せるほど景気が良かったという事が分かります。今では滅多に目にする事が出来ないですよね。

バブル経済が始まるキッカケとなったプラザ合意


竹下登と聞くとDAIGOのお爺さんとイメージされる方も多いかと思いますが、実はバブル経済のキッカケともなった人です。竹下登さんは後に総理大臣となりますが、当時は大蔵大臣でした。映画のような話ですが、アメリカのニューヨークで秘密の会合が開かれます。アメリカから竹下さんへ誰にもバレずにニューヨークへ来なさいと言われ、マスコミの目を逸らすために、成田空港近くのゴルフ場へと足を運び、そのままゴルフをします。そしてマスコミが今日はゴルフをすると信じ込んだところで、成田に直ぐに戻り、着替えをしてそのままニューヨークへと飛び立ちます。

場所はニューヨークのプラザホテル。そこで主要国の大蔵大臣が集まり、会合が行われます。アメリカの景気が良くない。現在のドルの値段が高過ぎるので輸出経済が伸び悩んでいる。だからドルを安くするために協力してくれないか?とアメリカが提案し、合意を求めるのです。これをプラザ合意と言います。他の国の大蔵大臣も誰にもバレないようにニューヨークへ集まっているので、会見を開いた時に全世界が驚きます。いつのまに集まって、いつのまに会議が開かれたのか?まるで映画のワンシーンですが、本当にあった話なのです。

では実際にどのようにしてドルを安くするのか?お金は需要と供給で値段が決まっているのはご存知ですよね。つまり主要な国がドルをどんどん売っていったのです。日本であればドルを売り、円を買い続けました。すると当時、1ドル250円ぐらいだったのが、一気に1ドル150円ぐらいまで下がります。これが1985年の話です。

円高によって行われた金融緩和と設備投資


さてアメリカのドルが下がったという事は今度は日本の円が高くなってしまったという事です。アメリカに協力したはずなのに、自分の国の経済が今度は悪くなります。円高になったので、日本の輸出産業の利益が一気に下がり、円高不況になります。そこで出てくるのが、金融緩和です。昔は公定歩合というのがあり、(金融機関が日銀からお金を借りた時の金利)この金利をどんどん安くしていきました。今では公定歩合という制度はありません。すると都市銀行などは日銀からどんどんお金を借りる事が可能になりますよね。都市銀行に現金が集まると、工場や企業などが設備投資をする時にお金を貸してくれるようになります。銀行はお金を貸して利益を得る仕組みです。銀行に大量にお金が入ってくる事によって、設備投資しませんか?工場建てませんか?お金は貸しますよ?と銀行側から言ってくるようになるんですね。

一斉に様々な企業が工場を建てるために土地を購入します。するとどうなりますか?皆が一斉に購入しようとするので、土地の値段が一気に上がっていきます。需要曲線と供給曲線が乱れたんですね。こうなってくると、実際に工場を立てて商品を作るよりも、土地を買って、土地を売るとした方が儲かったのです。いかに急激に土地の値段が上がっていったか分かりますよね。企業が土地を買って高く売る。これを財テクなんていう言葉で表現する人も多かったのです。次第に大企業だけではなく、中小企業、更には街の工場などもこの財テクに参加するようになります。

土地を担保にお金を借りて更に増やす財テク


先ほどの項目で中小企業や町工場も参加するように。と書きましたが今ではちょっと考えられないですよね。土地を購入するには多額の資金が必要になります。小さな企業がどうやって土地を購入したのか?金融緩和によって都市銀行は簡単にお金を貸してくれる状態にあります。更に土地の値段がどんどん上がり続けている時代です。つまり土地を担保にしてお金を借り、土地が上がったらまた土地を担保にしてお金を借りる。その額は雪だるま式にどんどん大きくなっていきました。土地を担保にするという意味を簡単に説明すると、マンガイチお金が返せなくなっても土地を売ればお金は戻ってくるから、土地があるならお金を貸しますよ。という意味です。今だと土地があっても返済能力や、過去の返済で滞りがないか、現在働いているのかなど、様々な事を調べ、その上で土地に価値があれば担保として銀行がお金を貸してくれる仕組みになっています。だけどバブルに突入した頃は土地の値段は上がるものだと誰もが思っていたので審査も甘かったんですね。

NTTが民間会社になって株を売り出した


日本電信電話公社が民営化し、NTTへとなりました。それまでは国が株を持っていましたが、民営化された事によって一般投資家でも株が購入可能に。当時1987年2月9日にNTTが上場します。基準価格は一株120万円でした。しかし初日は一般投資家が殺到し、値段が付きませんでした。NTTの株を求める人が減ることもなく、価格はどんどん上昇していきます。そしてひと月もしない間に一株300万円を突破します。

株で利益を出す人が多くなった


NTT株が300万円を突破した事はメディアでも大々的に報道され、株は儲かるという風潮になっていきます。するとそれまで株に興味がなかった人や、先ほどの土地を買って売る財テクを行っていた人達もどんどん株で投資を行うようになります。お金も株も需要と供給によって成り立っているので、欲しいと思う人が増えれば自然と値段は上がっていきます。

日経平均3万8985円87銭(史上最高値)


1989年12月29日に日経平均が3万8985円87銭という値段になります。現在が1万5千円前後ですので、倍以上の価格ですよね。企業は取引先の株であったり、資産として株を購入しています。売り買いを行わなくても勝手に株の値段が上がり、自分の会社の資産が上がっていきました。すると更に利益を大きくするために今度は株の取引で利益を出すようになっていきます。これだけ株の価値が上がっているので、土地と同じようにして銀行では株を担保としてお金を借りる事が可能になっていました。土地と株の両方の価値が上がり、両方を売り買いする事で会社や個人が利益を出す。そして銀行はそれらを担保にお金を更に貸す。どんどん危なそうな感じになってきましたよね。でも当時はそれが普通で、そういう流れの世の中になっていたのです。

シーマ現象によって見えてくるバブルの終わり


日産自動車が当時発売していた高級車にシーマという車種があります。当時の販売価格で500万円。何故売れたのか?値段が高いから売れたのです。世の中にそれだけお金が溢れかえっていた時代だったんですね。株や土地で利益を出した人はマイホームを購入します。住んでいる間にも自分の家の土地価格がどんどん上昇します。実際にはその土地を売らない限りはお金は入ってこないのですが、資産効果によって実際にお金を持っている感覚になってしまったんですね。

そしてシーマが売れた理由はもう一つあり、サラリーマンが自分の家を購入するために貯金をしていました。だけど土地の値段がどんどん上昇するのでマイホームなんて到底手が届かない状態まで来ていました。するとサラリーマンの人達が家の頭金にしようと思っていたお金でシーマを購入したんですね。半分ヤケに近い状態です。そうなのです。株や土地に手を出さず、まじめに働いていたサラリーマンの人達にとっては、景気がいい雰囲気はあるけれど、自分達が直接お金を凄く稼げている状態ではなかったのです。

バブル経済の終わり


さてここまで読んでいると、誰が見ても危ないと感じると思いますが、日本経済は既に限界突破をしている状態でした。そもそもサラリーマンがどんなに頑張ってもマイホームが持てないのですから、様々な場所から政府へ抗議が飛んでくるようになります。そしていよいよ空前の日本経済に政府が歯止めします。ここからバブル経済がはじけていきます。

地価税と総量規制と不良債権


1990年に総量規制が各銀行へ通達されます。大蔵省が銀行に対して不動産関連への融資は抑えなさいと通達したのです。つまり土地を買ったり、不動産を購入したい人への融資を銀行が規制するようになったんですね。現在では大蔵省が一般の銀行に対してこのような規制を行える権限は持っていませんが、当時は可能でした。

1991年に地価税が導入されます。多くの土地を持っている人達に対して税金が課せられるようになります。

そして日本経済は下り道に突入していきます。

不良債権を隠してまた次へ


ここからは半沢直樹のような話になってきます。銀行はお金を貸して、お金を返してもらう。その金利によって利益を出す会社ですよね。ちゃんとお金を期限内に返済してくれる人を優良債権、返してくれない人を不良債権とリストアップしていきます。バブル景気の頃は土地を担保にし、お金を借りていたとお伝えしましたが、普通であれば景気が悪くなっても不良債権が多く出るという事はありません。普通であれば10億円の土地を担保にする場合は7億円を融資する。土地の値段が下がっても銀行が担保としている土地を売れば銀行が損をする事はないですよね。しかしバブル景気の時には10億円の土地に対して9億円、更には11億円とお金を融資していたのです。10億円の土地であっても直ぐに12億円ぐらいに上がるから、11億円融資してあげる。

更にバブルの頃は銀行に大量の現金があったので、銀行側は融資を多くの人達に行いたかったんですね。ですので空き地を見つけると土地の権利者の所に行き、うちでお金を借りてマンションを建て、家賃収入を得ませんか?担保は土地で大丈夫です。と様々な人にお金を貸していきました。

大蔵省からの総量規制によって不動産への融資は銀行が行えなくなります。すると今まで土地を担保にし、お金を借り、株で利益を出し、土地を買う。そしてまた土地を担保にと繰り返していた財テクが全く出来なくなります。銀行がお金を貸せない状態になるので、今でいう借金を借金して返済するという仕組みが成り立たなくなったのです。すると土地を購入する人が少なくなり、土地の値段はどんどん下がっていきます。銀行は土地を担保として持っているので、この時点で土地を売ってしまえば負債は抱えなかったはずです。ですが、半沢直樹でも描かれていたような事が実際に行われていたのです。

不良債権を先延ばしにした


銀行は土地を担保として持っていましたが、土地の値段が下がったのは一時的だと判断しました。土地神話と言います。日本は国土が狭いので、土地の値段が下がるなんてありえない。誰もがそう考えていたんですね。しかし現実では土地の値段がどんどん下がり、土地を担保として貸した金額よりも土地の価格が下がっていきます。お手上げ状態ですね。でも銀行が担保の土地を売らない限りは不良債権がどれだけ存在するか分からない。

銀行では転勤が多く、支店長として務めた人が本店へと昇格する事が多くあります。次に支店長として入ってきた人が銀行の状況を確認し、いくら不良債権があり、赤字はいくらなのか?直ぐに分かりますよね。半沢直樹のように頭がよく、勇気ある人であれば可能なのですが、普通の人間であれば不良債権を先延ばしにしてしまうのです。何故でしょうか?

前任の人を否定してしまう事になるからです。前の支店長は本店に務めている。つまり自分の上司になります。その人を敵に回すと自分の出世の扉が閉じられてしまうのです。半沢直樹と全く一緒ですね。

コール市場と金融不安


ここまで来ると銀行に現金がなくなります。つまり普通に工場を建てるため、設備投資をするために融資を行ってほしいと銀行に言っても銀行はそういう人達にも貸せない状況になっていきます。すると銀行に対しる不信感が出てきます。今でも宝くじで一億円が当選すると連絡をしてからでないと現金が貰えません。お金を預けたら銀行の金庫の中に入れるのではなく、そのお金をどんどん他に貸し、利益を出していく仕組みです。それは今でも変わりません。では銀行に現金がないのに、お得意様から明日30億円用意してと言われたらどうするのか?銀行同士のコール市場というのを活用します。私達が銀行からお金を借りる時には担保が必要ですが、銀行同士のお金の貸し借りは信用のみで行います。大口の人から現金が必要と言われれば、コール市場に連絡をし、現金を貸してもらうのです。このコール市場は銀行だけでなく、証券会社も使えます。

1997年に三洋証券という巨大な証券会社が破綻します。証券会社はお客さんから頼まれた証券の売買だけでなく、自分達の会社でも証券取引を行います。三洋証券は巨大なトレーディングルームを建設します。その時に地方銀行から先ほどのコール市場を使って多額のお金を無担保で借りていました。しかしトレーディングルームが完成する頃にはバブル景気も終わり、それと同時に三洋証券は大きな負債を出し、破綻してしまいます。地方銀行は無担保でお金を貸していたわけですから、当然貸したお金は全く返済されません。この事がキッカケとなり、銀行や証券会社などが疑心暗鬼になります。無担保で貸すとお金が返ってこない。お互いの銀行や証券会社が無担保でのお金の貸し借りをしなくなるのです。小さな銀行は困ってしまいますよね。大口の人が現金を用意してくれと言っても銀行がお金を用意出来ない。
多くの銀行が潰れ、吸収合併となっていきます。

バブル経済のまとめ


ここまで読んで頂いた方ならもうお気づきですよね。
バブル経済は世界的に見ても繰り返されます。原因はとても簡単なのですが、バブルを経験した人達が退き、バブルを経験した事がない世代が働き盛りとなった頃に好景気が来たら?皆が株に手を出し、土地を購入し、資産を運用するのです。これは大体30年周期ぐらいだと言われています。前回のバブル景気が1981年から1990年頃でした。これに30年をプラスすると?2020年です。東京オリンピックがやってきます。これは偶然でしょうか?現在行われている金融緩和や設備投資、日経平均の上昇。どこまで好景気になるかは分からないですが、日本経済が上向きになった時に、いち早くバブルが弾ける時を見抜き、冷静に対処出来た人が勝ち逃げとなります。歴史は繰り返すという事を頭の片隅に置いて2020年を迎えましょう。
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